起業するとはどういうことなのか

起業、この言葉を聞いてどんなことを想像しますか?現代日本において起業することを至極当然のように行っている人もいる事を考慮すると、単純に会社を立ち上げるということに他ならないと思いますが、本質的にはどのような性質なのでしょうか?起業するといっても人によってはその理由もまちまちでしょう。自分で多額のお金を稼ぐため、やりたい仕事を自分で進めたくなったから立ち上げた、自分の理想をそのまま思い通りに出来る会社という王国を作りたかった、理由はいくつも存在するでしょう。そのどれもが本物ですが、では起業するということを簡単だと感じる人は何人いるでしょう。

私的な意見から言わせて貰うと、起業というものを本気で考えるとしたら途方もないことのように思えます。なぜかと言うと、もしも起業することを本格的に視野に入れて活動すると用意するべきものが本の簡単に用意できる人であればあるほど、会社というものはその条件を満たしていれば簡単に作れてしまうと思うからです。確かにそれ以前に国から受ける審査などを通過しなければいけないと言う問題もありますが、実際のところそんなに厳重な項目を用意しているということでもないでしょう。銀行等に融資を依頼する際にも信用に足る人物と判断されればそれに見合った額が提供されるでしょうし、交友関係に自信がある人ならそこから自分のところで働かないかと人材勧誘といったことも難しくありません。且つ、会社を設立する場所にしてもあてがあるなど最初から入念に計画している人なら実際のところ企業に必要な要素をいともあっさりと用意して、そして会社として機能することもそこまで時間的な日数を要することもないでしょう。要は起業するにあたって必要なものを早く用意すれば用意するほど起業までにこぎつけることができるスピードも相当だと考えて問題ないと思います。

確かに起業するにあたっては必要な準備などはある事は当然ですが、そのことを抜きにして単純に会社を起こしたいから起すんだという安直な考え方をしている人は本当に少数でしょう。むしろ起業するまでに掛かる道のりというものを考えれば、そこまでに必要な資本や資金、更に人材などは会社を立ち上げる直前まで揃わないということも平気であると思います。正直この三つが全て用意できている状態ではないと起業するという言葉に到達する前に燃え尽きてしまうでしょう。そうして考えてみるとぶっちゃけ学生でも起業しようと思えば起業できるものです、それも大学生でなくても早くて仕事や技術的なノウハウを持っている高校生くらいでも起業家として活動することも稀にあります。但し高校生の場合には商取引自体は20歳未満は行うことが出来ないという点があるため、立ち上げる事はできても個人として本格的に自分の思い通りに企業を運営するためには、肉体的なスピードが法律に追いついていないと行うことが出来ません。

年齢という問題はありますが、実際に高校生、もしくは中学生という身分で既に企業化として活動しているというような子達がいるという事実、聞いてどう思いますか?起業するということはそれだけ意味があってすることだと感じていましたが、卓越した行動力で年齢という壁に阻まれることなく様々な人たちが自分の思い描く企業を作り出して活動している現代社会という状況、これは特殊というべきでしょうか、それとも現代特有の特徴と表現するべきなのか。どちらが適しているかというのは人によって代わってくるでしょうが、私としてはまさしく現代日本の特徴と言えるでしょう。

日本で起業というものが普及した時期

日本人というものは常に誰かの下で働いて、そこから給料などを支給されて生活するものだ、そんな風に感じたことはありませんか?でもこれは大まかに言ってしまえば古き日本から続くスタイルといっていいと思います。そもそも古代の日本人にはまず、自分達が『コミュニティのトップ』という立場に立つということを考える事はほとんどなかったといっていいでしょう。それは戦国時代などにおいてもそうです、確かに平民出身で政治に深く関係するような重鎮にまで上り詰めることができた人もいるでしょうが、大半はそれまでにその一族が積み上げてきた歴史を引き継ぐように用意されたレールの上を走ることで将軍、もしくは領地を治める者として成り上がっていました。最も分かりやすい例としては徳川家でしょう。江戸時代において徳川と名の付く者達は間違いなくその時代における日本という枠の中では、権力などを抜きにしても最高位の位に位置していたと断言して問題ありません。実際、政治も何も分からないような幼子が将軍職につくということも平然と行われていました。この事実を改めて考えると信じられないというのが正直なところだと思います。これを現代の一企業として考えてみると、自分達の雇用主となっている社長が知識も技術も何も持たない人間だったとしたら、そんな人間を信用することができるでしょうか。もちろん信用できませんよね、私たちという会社のために働く人々の頂点がそんな何もできないような人物では信頼も何もない。そんなことが江戸時代を含めた古代では平然と行われていたと考えると、それだけ象徴的な存在としても無くす事はできなかったということなのかもしれません。

こうした考えは大政奉還が行われてからもなお、慣習とも表現できるように特定の血を引く人々がその当時の国を支えている、そしてそんな人々を支えて働くことこそ至上の喜びとするべきだ、そんな風に考えられていましたが、そんな体制も世界大戦に日本が敗北したことですべての秩序が崩壊しました。その後GHQによってそれまで日本に存在していた財閥は解体されるなどの動きを見せるようになると、そんな世間の動きを皮切りにして人々は自分達の生活というものを見直し始めるようになったのかもしれません。

古代期においても自分で全く新しいコミュニティを作り出すということを行う人もいましたが、ほとんどが既存の巨大コミュニティに淘汰されるなどされてしまいましたが、日本人の中にも自分たちだけの白というものを造ろうと考える人は多少なりとも存在していました。しかしその当時からして考えるとそうした自分達の城を作り出そうとする人達は異分子として見られ、国として考えたら反乱分子といった目で見られるようになります。国の意向に従わないものは排除せよ、排除は死を意味しており叛逆など考える方が間違っていると見なしていた人が多かったのではないでしょうか。そうした日本人の意識を改革することになった世界大戦後には、自分たちで起業するという考え方が急激に広がるようになったのです。

抑圧こそされていましたが、自分達の城を作り出すということについては諦めていないと心の奥底で願って止まない人が意外と多かったからこそ、起業というものが広まったのかもしれません。そうして本格的に日本人が起業することが本格的になって行くのは、大戦後、そして経済発展期でもある高度経済成長期には起業する事は徐々に日本人にとっても当たり前のこととなっていきました。これだけでも日本人に新しい価値観が芽生え始めたことを意味していますが、まさかその後更に起業という考え方が変化することになるとは、さすがに当時の人々も予想している人は少なかったのではないでしょう。

1970年代後半から80年代終盤に掛けて

世界大戦、そして高度経済成長期を経ることで起業という新しい労働スタイルを求めることができるようになった日本で、その後更に誕生した概念として『ベンチャー起業』という考え方が生まれるようになりました。このベンチャー企業という概念が誕生した1970年代から起業するという考え方が更に加速していき、極めつけは80年代における当時としては最先端の機材が生まれ始めたこともあってベンチャー企業というものの二次的流行が押し寄せるようになります。その後80年代終盤に起きたバブル経済もまた起業する人々を後押しするようになりました。

そんな中で突如としてやってきたバブル経済の崩壊によって起業したからといっても安定しない、安定しないために新規開拓として起業した人達の中には多額の借金を抱え込んで倒産してしまったという人もいると思います。勢いに乗って会社を立ち上げた人の中にはあっけなく負債だけを残して90年代においては起業する人も減少傾向を見せるようになりました。その後世界情勢の中で『インターネット・バブル』といったIT産業へと起業するなどのブームが巻き起こるなどの動きを見せましたが、日本としてはそのブームの影響というものをほとんど受けることがなかったため、対岸の火事として崩壊にしてもさほど影響が及ぶこともなかったといったちょっと冷や冷やする出来事もありました。但しこうしたIT産業が活発になり始めた2000年代初期には同様にITを中心とした起業家が活動を始めるという動きを見せるなどの動きが出始めたのです。

現状では起業する人間こそ減少傾向にあると言われていますが、そこまで企業としての形が減っているというようには思えないのが個人的な意見です。たまにこんな会社があるんだなぁと感じるときもありますし、また起業家として活動している人の中には先ほど話した高校生といった低年齢で会社を興すということも珍しい話ではなくなったといえるでしょう。ですがそれでも大半の人は現在の日本景気を対極として捉えた場合には、安定志向を求めたがる人は多く存在しているというのも否定できないのです。起業するということは、その後について回るリスクなど社会的な責任を全て自分自身で負わなければならないという、そうした危険性もついて回ります。起業すること自体は簡単ですが、その後という見通しを考えたときに本当に自分がそのすべてを背負いきれるのかどうかということを良く考えなくてはいけないのかもしれません。

起業するために必要なこと

では実際に起業するとなったら、会社を興す前にどのような準備をする必要があるのでしょうか?その最たる準備項目としては具体的に4つほどあります。

企業理由を明確に、具体的なビジネスプランを練る
当たり前ですが、どうして起業するのか、起業してどうしたいのか、どんな事業を中心に行っていくのかなどはっきりとしたビジョンがない起業計画など机上の空論と表現していいほど、説得力の欠片もないどうしようもないものです。立ち上げた後、こうした起業理念などは取引先などに対して信頼関係を築くための重要な要素となってくるので、きちんと指針を示しておかなければいけません。
十分すぎるくらいの自己資金を集める
会社を立ち上げるにしてもなんにしても大事なものとして必ずお金という問題は発生します。上述の企業理由も確かに必要ですが、それ以上に資金という問題は何よりも優先して獲得している状態でなければ、銀行から融資を受けることもできないため、起業する前には多すぎる程度に用意する必要があります。
正確な情報と、それに見合った行動をとる
起業することになったら、まず自分が立ち上げる業種の業界を知る、同業他社の現状を調べて自分の会社の経営と照らし合わせて考えてみることも重要になってきます。この時に大事な事は何よりも的確な情報を入手するということです。間違っても噂レベルの話を真に受けるなどしてはいけません。コミュニティを築くということは、それだけ自分達がどの位置に属しているのかを把握しておく必要があるのです。当たり前のことですが、情報だけ持っていてもそれに対して自分たちが取るべき行動は何なのかということもきちんと考えなくてはいけません。
信頼に足る人物に協力を仰ぐ
起業するとなればそれだけ多くの人々と人間関係を築くことになります、そうなってくるとどんな状況においても自分を支えてくれる人という存在は必要になってきます。自分が最も信頼に足る存在に協力を要請して支えてくれる、そんな人を見つけ出すことも起業家にとってはなくてはならないものなのです。

単純に起業するとなっても上記のような条件を一つでも欠いて企業を興すというのは考えられないのです。これら全ての条件を満たしていることが起業家として外せない準備ですが、何よりもまず『最初は身の丈にあった事業内容から始める』というのも大事です。いきなりあれやこれやと手広く着手するのも失敗を意味します。確実に、そしてこれからなら絶対に成功を収めることができると思えるものから始めるべきでしょう。もちろん起業するにしても起業するときの世間の波というものをよく監察してから、どの業種で起業するべきかというのも考えてから起業することも方法の一つです。なんにしても、自分で作る会社ですから、自分の力で成功まで持っていける事業へと進化させられるだけの自信があることは絶対条件と見なしてもいいかもしれません。